2020年02月03日

有給休暇のきまり【後編】

From 桜井智
池袋のオフィスより

おはようございます。
「メルマガ労務」の櫻井です。

本日のメインテーマは「有給休暇」です。
前編に続き、後編を進めていきます。
新任アシスタントさんと店長さんの会話を交えながら解説していきます。

アシスタント:
「働き方改革で有給を5日取れるって聞いたんですけど本当ですか?」

店長:
「そうだね、付与されてから1年間の間に5日は必ず消化してね」

アシスタント:
「けど、うちの店は人数が少ないのでなかなか有給取れないですよね。」

店長:
「そうだなー。私も実際ここ3年で有給取ったのはインフルエンザで休んだ時くらいだ。。。」

社労士:
「はい、日本全体でも有給の取得率は50%で世界の国々と比べて低い数値となっております。

ちなみに良く日本と比較されるドイツは100%の取得率で日数も30日です。
そんな取得率を改善すべく、昨年4月から働き方改革が導入されました。
   
働き方改革では、企業側に有給付与後、1年以内に必ず5日は消化させることを義務付けております。

もし、取得させていない場合は30万円以下の罰金になります。
気を付けないといけないのは対象労働者1人につき30万円、ということは5日付与できなかった労働者が10人いたら300万円の罰金を科せられる可能性があるということになります。」

店長:
「えー、そうなんですか。罰金って高いんですねー。

けど、うちの店も社員のみんなにいい仕事をしてもらいたいので、なるべく有給を取得させてあげたいのですが、実際どうやったら良いでしょうか?」

社労士:
「まずは、有給の付与状況を把握するために年次有給休暇の管理簿を作成してください。
管理簿に記入する項目は
1.有給休暇の基準日(付与日)
2.与えた日数
3.取得した日
になります。
この管理簿も法改正により、備え付けが義務付けられました。

そして、付与後8カ月くらい経過後に、この管理簿で社員ごとの取得日数をチェックし、5日消化していない社員に対して個別に取得を促してください。

ここまでやっても取得しない場合はこの罰金刑に処される可能性は低いかと思います。」

アシスタント:
「先生、そうは言いますけど現実は、人数が少なくて、みんな忙しそうで、休むどころじゃないんですけど」

社労士:
「はい、実はこの有給の意識調査で、日本が唯一NO.1だった結果が『有給取得に罪悪感があるか』というもの。
58%の人が罪悪感があると答えております。その原因の一つは上司が有給取得に協力的ではないことです。」

店長:
「そうなんですね。どうしても休まずに来てくれる人の評価を高くしてしまったりしていたような気がします。」

社労士:
「確かに、休まずまじめに働いてくれる人を高く評価してしまうのは当然かと思います。
しかし、働き方改革の本来の趣旨、労働生産性を高めることについて、ただ、同じことを長い時間やることが正しいわけではありません。

同じ結果または、より良い労働生産性を確保するためには、適度の休みを取り、その時間の集中力を高めること、または、IT技術などを積極的に導入し、劇的に生産性を高める柔軟性を育てることも、今後企業に求められる能力なのかもしれません。

そういった改善意欲のある積極的な人たちの評価を上げていくことが企業の発展につながる時代なのかもしれません。」

アシスタント:
「ただ、だらだら休みを浪費するのではなく、そういった提案ができるように、普段できない経験をする、自己啓発のための資格の勉強などして積極的な休養を取ってリフレッシュします。」

店長:
「そうだなー、そういう目的の休暇だったら私もよろこんで協力するよ!」

PS この年次有給休暇の計画的付与を行うためには、就業規則へ規定し、更に労使協定で対象者、付与日数、付与方法などを事前に決めておく必要があります。
ちょっと自信がないかなと思った方は、是非ご相談ください。

https://biyo-sr.jp/