2020年10月02日
賃金を本人以外の者へ支払うことは可能か?〜労務管理の基本〜
From 桜井智
池袋のオフィスより
本日のメインテーマは「賃金を本人以外の者へ支払うことは可能か?」です。
店長さんと社労士の会話を交えながら解説していきます。
店長:
先生、うちの店では給与を銀行口座へ振り込んでいますが、スタッフから、消費者金融と思われる口座に直接振り込んでもらえないか相談があったのですが、もちろんダメですよね?
社労士:
はい、おっしゃる通り労働基準法違反となりますので、お断りされたほうが良いかと思います。
労働基準法には賃金支払いの5原則が定められております。
賃金は、
2.直接労働者本人へ
3.その全額を
4.毎月1回以上
5.一定期日を定めて
支払わなければなりません。
今回のケースでは上記の5原則のうち『2.直接払い』に違反する形になります。
店長:
そうなると、消費者金融系の人が直接店に取り立てに来てしまった場合も払わないほうが良いのですね。
社労士:
はい、そうですね。
万が一その業者さんに払ってしまった場合、その後、スタッフから給与を払ってくれと請求を受けたら、会社は2重に支払う義務を負うことになりますので注意が必要です。
店長:
怖いですねー。
社労士:
その前に、スタッフの素行を注意する必要がありますが・・・。
店長:
そうですよね・・・。
けれど、よくよく考えると、銀行口座へ給与を振り込むこと自体『1.通貨で』『2.直接労働者本人へ』に違反している気がするのですが?
社労士:
はい、これも労働基準法の例外規定になります。
実は銀行振込を行う際は、以下の3つの条件をクリアーする必要があります。
2.労働者が指定する本人名義の預貯金等の口座に振り込まれること
3.振り込まれた賃金の全額が所定の賃金支払日に引き出し得ること
店長:
では、スタッフの1人だけ同意しない場合はどうしたらよいですか?
社労士:
やはり個別の同意が必要なため、同意しない労働者の方に対しては現金で支払わなければならなくなります。
店長:
厳しいですね。
『2.労働者が指定する』とあるのですが、会社のメインバンクを指定してもらうようにしているのですが、まずいですか?
社労士:
同じ銀行で支店も同じであれば振込手数料がかかりませんよね。
実際、入社時に口座を作ってもらう会社さんも多いですね。
ただし、法律上は違法になる可能性がありますので、あまりごり押し押せず、丁寧に説明して同意を得ていただければトラブルに発展することはないかと思います。
PS 労務管理の重要性は益々高まっております。
弊社は大丈夫かなと不安に思ったら是非問合せ下さい。
↓↓↓
https://benefit-group.jp/